みなさん、こんにちは。
ツネイシLR株式会社の清水 群(しみず ぐん)です。
“親しみのある遊園地”
これは今年からみろくの里で目指している遊園地像です。
堅苦しくなく、でも馴れ馴れしくない
お一人お一人に敬意を持って丁寧に
親しみのある遊園地であるために
そういった遊園地像を目指すにあたり、今年から遊園地で変えたことがあります。
それはスタッフの身だしなみ規定です。
髪の色やアクセサリー、ネイルなど、従来の基準を改定しました。もちろん遊園地の中には飲食施設もありますので、担当業務によって衛生面への考慮をしているものもあります。アトラクションの操作は機械操作でもありますので、お客様・スタッフ両方の安全を考えて、できないことのルールももちろんあります。
それでもスタッフの見た目の自由度はかなり高くなったはずです。
では、果たして髪の色が明るいスタッフに親しみを感じるのか?
親しみのある遊園地を目指すのに、身だしなみ規定を改定するとはどういうことか?
私が接客サービス業に初めて携わった20年前は”違和感のない”、”自然である”などのキーワードのもとに、髪の色は黒が基本でした。
それに対して私は、違和感のないってどういうことだろう?そもそも全員が同じということに対して、違和感を持たないのか?髪の色が同じでもユニフォームや表情、接客手法がそれぞれ異なるので、まったく同じではないか…でも接客のやり方も人によって受け取り方が異なるし、ある人には好意的でも、ある人にはそうではないこともある。といったように、いろいろと考えました。考えながら時代も流れて、私も仕事の中でいろいろな価値観に触れました。
そうやってたどりついたのが、結局は人それぞれだということです。
髪の色が明るい人に対して親しみを持つ人もいます。もちろんそうではない人もいます。お客様ごとの価値観があるのであれば、当然スタッフごとの価値観もあります。特に遊園地は様々なお客様がいらっしゃいますので、一定の価値観に固定せずに、親しみを感じる幅を広げる方がいいのではないかという判断です。繰り返しになりますが、衛生面の配慮や安全面で業務に支障がない範囲というルールはあります。そのルールの中で、違いがあって当然、違いがあってこそ自然なのではないかと思っています。
では、作られた違いは自然なのでしょうか?
作られた違いというのは、髪の色であれば生まれつきの色ではなく、染めたりした色という意味です。これについても、自分らしくいるということこそ自然であると定義します。働いているスタッフは、当たり前ですが人です。全員が同じ見た目、同じ対応よりも、安全安心のルールの中でスタッフそれぞれの個性があるから、お客様お一人お一人に合った対応ができ、それが楽しい思い出になるはずです。
師匠の言葉
「自分が楽しくねぇと、ゲストが楽しくねぇだろうが!」
前職で私が師匠と思っている人がよくおっしゃっていた言葉です。
髪の色などオシャレで個性を表現し、そうすることでスタッフが自分らしくいられるなら、その方が楽しく働けるはずです。また、オシャレをすることで自信が出てきます。より等身大の自分を出せます。オープンでいられること、自分を表現すること、まずは自分という人間をお見せする、自己開示をする、それこそお客様への敬意の一つだと思いますし、親しみを感じる関係性の第一歩ではないでしょうか。
私は足に軽く障がいがあります。走るのも歩くのも遅いですし、ずっと立っていることも難しいですし、電車では手すりか吊り革につかまっていないと立てません。そのため、どうしても劣等感をぬぐえないときがあります。でも自分がかっこいいと思うもの、オシャレだと思うものを身に着けると自信が生まれてきます。前向きになり、生き生きとした感情になります。見た目が変われば、内面が変わる、内面が変われば表情も変わる。お客様は遊園地に、楽しいといったプラスの感情を目的にいらっしゃいます。だからこそ前述の師匠の言葉どおり、まずはスタッフがプラスの感情になれる環境づくりからです。
見た目以上に問われること
金髪のスタッフが対応して、安心できないという方もいらっしゃると思います。もちろん衛生的、清潔感は求めていきますが、私も昨年までは金髪にしているときもありましたから、周囲からどのように見られるかは、よく理解しているつもりです。私は講師業もしていますので、人前で話すことも多いのですが、金髪時代によく言われていたのが
「意外にまともなことをお話しされるんですね」
そして講演中、映像に合わせて私が一ネタ演じることもあるのですが、髪を染めていないときだと
「意外にお笑い的なこともされるんですね」
などと言われます。
見た目でイメージができあがっているということは、たくさん経験してきました。私も見た目で先入観を持ってしまいます。でも結局は見た目じゃなくて、行動なのです。アニメなどでも悪役がヒーローを助けるシーンがあったりします。その後も悪役に対して悪い印象が続くかというと、そうではありません。
そういう意味で、身だしなみ規定を改定するということは、スタッフにとってハードルが上がることにもなります。見られ方が変わりますので、今までよりも行動を問われるからです。ちょっとでもお客様に不快な思いをさせてしまうと、金髪だからと言われたりもします。しかし、そのハードルを乗り越えられるスタッフだと信じていますし、みろくの里らしい接遇とは何か探求するプロジェクトも始めました。このプロジェクトについてはまたご紹介しますが、アトラクションだけではなくスタッフも含めて多面的に楽しんでいただける、そんな親しみのある遊園地を目指します。
その結果として、これからの時代を生きていく子どもに、自分らしく楽しんで働く姿を見せる大人が集まる場所、そのひとつがみろくの里となるように進化してまいります。